背景のカタチ
もしかしたら皆さんは注目される機会が少ないかもしれませんが、ゲームや映画において背景デザインとは世界観を表現するうえで、非常に重要なポジションを担っています。
さらにはマップ構成など直接ゲーム性に関わる部分でもあり、当然のことながら手が抜けない箇所だったりします。もしかしたら一番お金が掛かるポジションかもしれません。
映画で時代劇を撮るときは、背景に現代の物が入り込まないように細心の注意を払います。SFだったら、その世界を伝えるためにCGやセットを用意しなければなりません。ゲームだとすべてモデリングで作っているのでその世界観に合わせて作ってしまえば良いのですが、逆に細部含めて、丸ごと作らなければいけないという問題点があります。ダークロで特徴的な壊れる物、これは物そのものと壊れた状態も作らなければなりません。これは大変な作業です。
しかし、ダークロでは前作を完全に超えるクオリティを目指して制作を行いました。背景はその中で多くの部分を占める大切な部分です。
まず背景のコンセプトを突詰めるところからはじめました。
私が考える背景のクオリティを誤解なく伝えるために、デザイナーの重千代に背景のイメージボードを書いてもらいました。以下がその一例になります。
この囚人棟前はベロニカの冒頭に出てくる背景で憶えている方も多いと思います。
基本的な構造などは変更していません。ただ、デザインの上では様々な試みを行いました。
まずはホラーらしさを際立たせるために、光と影を重視しました。
暗いだけだと背景が沈み込んでしまうので明るいところと、暗いところのメリハリが出るような構図を制作しました。奥手のほうに光のワンポイントになる監視カメラとサーチライトを新たに置いています。
また、このステージは絶海の孤島なのですが、旧作ではそれが感じられるステージが少なかったと思います。ここは序盤ですので、プレイヤーの閉じ込められた状況を強調したい。なので、あえて奥の壁を壊し、海と灯台を見せるようにしました。
こうしてできあがったイメージボードをWiiで再現するために、キャビア社のデザイナーに制作をお願いして更なる作業が進行します。もちろんクオリティアップのために、あの手この手でアレンジをかけていきます。たとえば雨の水溜りをリアルに表現するためにスペキュラー(物の光沢ハイライト処理)を使用したり、雨を表現するためにカメラ自体に雨粒が落ちるような効果を採用しました。描画技術はキャビア社の努力の賜物なのです。
これらが総合的に組み合わさって、今のダークロの背景クオリティが達成できたのです。
まず目標を高く持つこと、そしてその目標に正面から立ち向かったデザイナーさんの努力、それが一味違う画面を生み出しています。
どこまでイメージボードに近づいているか、ぜひ製品版で確認してみてください。
■瀬戸康洋プロフィール
最近飼っているエアプランツが次々死亡中。チランジア系のエアプランツと食虫植物が好きで家に置いてます。当然バイオで好きなモンスターはイビー♡です。ウルトラマンのグリーンモンスとかオードリー(芸人に非ず)もいいですね。
2009.08.28

