「校正」
プランナー:太田紘平
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プロデューサー:大原晋作

2008.05.02 ( 金 )

How to ローカライズ その3
ディレクター:江口篤洋

そもそも、レーティングってなんなんですか?

おお!?また単刀直入に来たね!
その質問の解答はブログ10回分ぐらいの長さが必要なんだけど?(笑)

手短にお願いします(笑)

年齢別に設けられた、倫理基準のことです。おわり。

短か!それじゃあ全然解らないですよ。

え~、ワガママだなあ、ねぶたっちは。

誰ですかねぶたっちって?
アドリブで打ち合わせにないこと言わないでください(笑)


で、なんの話だっけ?

レーティングですよ!

ああ、そうだった(笑)
えっとね、ゲームのレーティングっつ~のは、まあなんだろ…説明が難しいけど、
ゲームをプレイするユーザーの年齢層に応じていくつかの区分を設け、
各区分に対して悪い影響を及ぼす可能性のある表現の基準を設け、
その基準に則してゲーム内容を審査し、そのゲームがどの区分に向いた
内容なのかをゲームの購入者が的確に判断できるよう明示したもの、
といったところかな。

まだ難しいですね~。

う~ん、早い話が、ゲームの中には、青少年に悪影響を与えるかもしれない
表現などが含まれる可能性があるから、それを審査して、彼らがそういう
ものに触れなくてもいいようにしましょうねっていう取り決めだね。

お~!今度は解りやすかった!

なんかオレ、テストでも受けてる気分なんだけど?

今日のテストはまだまだ始まったばかりですよ(笑)

うぁ~い。

よくカプコンは自主規制をしているという噂を目にしますが、それって本当なんですか?

う~む、また考えさせられる質問だねえ。えっと、その「自主規制」という言葉が、
“カプコンが独自の裁量で勝手にどこかを修正している“という意味なら、それは違うよ。
カプコンはCERO※1に加盟してるから、まずはCEROに審査を出して、
返ってきた審査結果を元に修正が必要なら修正するといった感じだね。
※1コンピュータエンターテインメントレーティング機構

そういえば、僕がチームに入って間もない頃、

CERO審査用の映像を作ったのを思い出しました。
プレイ開始からクリアまでをまとめたプレイ映像を録画編集し、
さらに要素や表現的に報告しなければいけない様な所を映像とリストで提出する、
まずはそれが第一段階でしたね。


そういえばそんな仕事をお願いしたな。
まだ最近のハズなのに、随分昔のことのようだ(笑)

そうですね。僕もそんな気がします(笑)

あの時の映像が審査されて、その結果で修正の要不要も決まるワケだから、
なかなか重要な仕事なんだよね。

逆にCEROに指摘されてないけど、自社の基準に照らし合わせてここを直しました。
という部分はないんですか?


それは全くないね。
CERO基準を超えた独自の自社基準を持っているメーカーというのは、
ソフトメーカーではあまり聞いたことがない。
そもそも、ゲームメーカー各社に共通の基準を設けましょうってのが、
CEROの設立目的の1つのはずだし。

CEROで決められたことは守らないといけないものなんですか?

そうだね。CEROは明確な基準を持っているし、
しっかりとした審査もしているハズだから、
我々メーカー側としては、そこを信頼して審査をお願いしている。
当然審査結果は守らなければならないし、
指摘された部分は修正なり削除なりしなければならない。

どこのメーカーもそうなんですか?

それはもちろん。
そもそも現実問題として、CEROの審査を通っていない
家庭用ゲームが正規の流通に乗るとは考えられないので、
ちゃんとした家庭用ゲームとして発売するなら、
絶対に通らなくてはいけない道なんよ。
抜け道なんてないし、そんなものがあったら、
レーティングの意味もなくなってしまうしね。

さきほど修正や削除といったお話がありましたけど、
例えばレーティングが『Z』でも修正や削除が必要なことってあるんですか?


あるね。
CEROにはレーティングの基準の他に“禁止表現”※2という概念がある
例えば利益を目的とした一般人殺害とか、胸や局部の露出とかね。
上記の項目に該当すると、そもそもレーティングをしてもらえない。
※2禁止表現を含むCEROの基準に関しては、
CEROの公式ページから詳細を見ることができます。


だから削除したり、隠したりする必要があるわけですね。

そう。そうしなければ発売ができないと考えていい。

つまり同じゲームであれば、どこの会社がローカライズをしても
削除や修正される部分は同じということですか?


うん。まあそれはある面では正しいけど、違う面もある。
要は、修正すべき部分をどう修正するか?というところで、
各社の考え方が出てくることはあるだろうね。

例えばどういうことでしょう?

例えばあるゲームに女性が胸を露出するシーンがあったとして、
当然CEROの禁止表現に該当するから、修正する必要がある。

すごくどっかで聞いたような話ですね(笑)

うん?知らないな(笑)
んで、その修正方法だけど、一番簡単なのは、そのキャラクターや
そのキャラクターの出てくるミッションなりを削除しちゃうこと。

う、それはヒドい。

うん。もちろん我々としてもそれは絶対にやりたくない。
そこで、そうしなくていい方法を考える必要が出てくる。

具体的にはどういった方法があるんですか?

3Dのゲームの場合、キャラクターの表面を描き出している絵を、
『テクスチャ』というんだけど、これを描き変える方法がある。
胸が露出しているなら、布で覆われたような絵にするとかね。

なるほど、それならキャラごと削除する必要はなくなりますね。

ただこの方法は難しい時もある。
前回までに話してた“全部お任せ型”なら、ウチで動けばいいだけの事なので
話は早いんだけど、最近はほとんどのタイトルが“テキスト抽出型”だから、
上のような修正は当然、開発会社にお願いすることになる。
でも、開発会社がやりたがらないことがあるんだよね。

そうなんですか?その方が原版に忠実にできるから、
開発会社としても嬉しいかと思ったんですけど?


それがそうでもないんよ。 テクスチャを変える方法って、先方のグラフィッカーが
新たに絵を描き直さなくちゃいけないでしょ?
それには当然新たな人件費がかかってくることになる。
だからこちらからテクスチャを変えてってお願いしても、
問題がある箇所やミッションがバッサリ削除されてしまうこともある。
手間を考えればそれが一番簡単だからね。

コスト的な問題が発生するワケですか~。
それを考えなきゃいけないというのも、寂しい現実ですね。


その通りなんだけど、会社としてやっていくからには、
避けて通るワケにもいかないね。ただ、こちらとしてもあっさり
「はい、そうですか」と引き下がるワケにもいかないので、
なんとかしてもらうための交渉をすることになる。
削除ではなく、なんとか修正でいけないかってところでね。

それはまた時間がかかりそうな話ですね。

うん。そうなんだよね。
ただウチの会社もそうだしプロデューサーもそうなんだけど、
その辺には非常に理解があって、ローカライズするなら原版の作品性を大事にして、
なるべく原版に近い形を保ちましょう
ってスタンスをとってくれている。
だから交渉や修正に手間や時間をかけることを許してくれるんよ。
これはウチのチームとしては非常にありがたいし、心強い。

具体的にどんな交渉をするんですか?

う~ん、まあそれは修正内容によりけりだけど、さっき例に挙げたような問題では、
例えば元のテクスチャのデータを開発元から預かって、こっちで修正して送り返すとか、
テクスチャがダメなら、カメラの角度を調整して見えないようにしてもらうとか、
開発側の負荷をなるべく減らす形であらゆる方法を模索するワケさ。

最近解ってきたことなんですが、江口さんて、
原版の内容を再現することに対してものスゴイ執着心を見せますよね?(笑)

うん?そうかい?

そうですよ。今回の『ゴッド・オブ・ウォー 落日の悲愴曲』だって、
“They”という単語が誰を示しているのかをプレイヤーに伝えるために、
かなりアクロバティックな方法を編み出して実行してましたよね?

会社に何日も泊まりがけで(笑)

ああ、あれね!ていうか、やっとゴッド・オブ・ウォーの話になったね (笑)

そういえばそうですね(笑)

あれは是非みなさんに見てもらいたいところだね。
ここで詳しくは話せないけど…エンディングだから(笑)

あの作業をしてる江口さんには、執着心というか、執念に近いモノを感じましたよ。

まあぶっちゃけて言うと、少なくともオレ個人は修正なんてしたくない。
そもそも原版が面白いと思ったから日本に紹介しようとしてるワケだし。
これはきっと、ローカライズの開発畑にいる人なら、
誰だってそう思ってるんじゃないかな?

そうですね。そうだと思います。

だけど日本という国のお国柄や、ユーザーや社会に与える
影響を考える必要があるというのもよく解る。
だから、我々の側で努力することで、この相反する2つの考え方の間に、
よりよい形での折衷案が見いだせるなら、いくら努力してもいいと思ってる。

オレ自身もそうだし、カプコンという会社もね。
ウチと契約してくれる開発会社も、そういった部分を大きく評価してくれているから、
毎回ウチにタイトルを任せてくれるって面もあると思うよ。
世間の一部ではいろいろと誤解もあるようだけど(笑)

笑い事じゃないほどスゴイ誤解がありますよ!

まあ、ネットをたまに見ると多いのを痛感するね。
ウチが勝手に規制して開発会社を怒らせたとか、
人気シリーズの版権を手放さないとか(笑)


そうそう。実のところ、僕もここに来るまでは本当かと思ってましたよ。
噂の全てを鵜呑みにしていたわけではないですが。


本当にやったことに対して批判されるなら納得もできるけど、
全くの誤解で批判されるのはツラいね。
特にウチのローカライズに関しては誤解と批判が多い気もする。

ここでその誤解を解けませんか?

う~ん。まあさっき挙げた話で言えば、
そもそもウチが勝手に規制なんてできるわけない。
契約の上でも、こちらでできることの範囲で考えても不可能だし、
そもそもシリーズまとめての包括契約なんて全くしてなくて、
毎回他のメーカーさんと対等な条件で契約交渉を始めてるワケだしね。

あと、ハードメーカーが独自の基準を持っている場合もあると聞きましたが?

そうだね。その場合は当然そっちにも従う必要がある。
CEROに審査を出すのと同じようなプロセスが必要になるから、そっちも大変だよ。
いや、場合によってはCERO以上に大変なこともあるかな。

なるほど~。解らなかったことが今回いろいろと解った気がします。

今回は話の密度が高かった気がするね。
これまでにないほど長くなってしまった気もする。

確かにここのブログとしては最長かもしれませんね。
でも
洋ゲーを好きなユーザーの皆さんにはちょっと気になっていた
内容だった
んじゃないでしょうか?

そうやね。疑問に思われていたことが、少しでも解決すればいいんだけど。

僕も色々とお話を聞いているうちに、レーティングについてちょっと考えさせられました。
機会があればそのうち僕のブログ更新の際にでも書いてみたいと思います。
という訳で今回はこの辺で。次回は何の話にしましょうか?


う~ん、どうしよう?思いつかん。考えとく(笑)

それではみなさん、まだ内容は決まっていないですが、第四回をお楽しみに!

江口ディレクター

2008.05.02 17:00 | コメント (2) | 2.江口ディレクター

コメント

とても勉強になりました。
想像以上に大変ですねー。
最良の妥協点を選択していても文句がでる。
エンターテイメント性のあるものを作っているかぎり、
絶対に出てくる障害ですよね。
色々意見はあると思いますが、めげずに頑張ってください。

投稿者 : チャイ | 2008.05.04 16:56

ほー、なるほどー。
同じタイトルでもハードによってはレーティングが「D」だったり
「Z」だったりするのが不思議だったけど、そういう訳ですか。
見えない所で苦労があるもんだ。

投稿者 : ローマン・B | 2008.05.04 16:21

 

プロフィール

プロフィール画像

ゴッド・オブ・ウォー
落日の悲愴曲

対応ハード:PSP
ジャンル:アクション
プレイ人数:1人
好評発売中!!
希望小売価格:
4,990円(税込5,240円)


>> 公式サイト
>> ポータルサイト



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