ゲーム内容については、今更ここで紹介する必要はないでしょうから、今回は私の仕事の大部分を占める、日本語テキストの校正に関してお話しましょう。少々マニアックですが、少しだけお付き合いください。
翻訳会社から送られてきた翻訳済みのテキストを、そのゲームに合った形に直すのが校正というお仕事です。簡単そうに思えますが、これがなかなか一筋縄ではいかない。英語を日本語に翻訳するだけでは、文章が長くなりすぎて同じスペースに入り切りません。そこで原文を理解して意味を損なうことなく短くし、その局面に合った形に修正するわけですが、それにはゲームそのものを理解し、そのテキストがどこでどういう風に出てくるのかを知る必要があります。
しかし契約上プログラムそのものに触れることはカプコンではできませんから、見たいテキストを自由に表示できません。従って、分岐や場合分けを考えて、あらゆる方法で実際にゲームをプレイするしかないのです。ごく普通にクリアするだけでもゆうに50時間以上かかると言われているサンアンドレアスですが、そういった分岐を考えると倍以上の時間がかかります。1度の修正で直るとは限りませんから、さらに時間はかかります。そしてゲーム全体を通して言葉の雰囲気を統一する必要がありますから、これらの作業をほぼ1人で行います。
膨大で根気のいる作業ですが、それもこれも全てはプレイヤーに快適に遊んでいただくため。ゲームでのテキストというのは縁の下の力持ち的な存在。表現が上手いほど目立たない存在となるのです。もしプレイされた方がテキストや字幕の存在に気づかないほどゲームにのめり込んでいただけたなら、私の仕事は成功したと言えるでしょう。
さて、もうご存知の方も多いかと思いますが、実は今回のGTA、海外版と比べるといくつか変更点があり、詳細はカスタマーサポートのページ でご覧いただけます。
日本で発売するにあたって、カプコンとしても開発元のR☆としても、海外版と全く同じ物を提供したかったという気持ちはあります。ただ、このタイトルの置かれている社会的な状況や、各方面からの要請・要望などを考慮しなければ、発売できなかったのも事実です。
しかしだからといってGTAを名前だけのゲームにするワケにはいきません。そこで作品の内容やその本質的な面白さ、開発者の意図やこだわりといったものを各方面にご理解いただくために、何十枚もの資料や何百分ものビデオ映像を作成し、解決策を考え、交渉に交渉を重ね、環境を整え、やっとのことで今の形にすることができたのです。
そして気が付けば1年半…。多くのカプコンスタッフやR☆の開発スタッフの、本当に地道な努力がやっとのことで実を結んだのです。決して妥協の結果などではありません。日本という国でこのゲームを発売するために、それぞれの立場の人たちが、それぞれの努力を積み重ねた結果なのです。それはきっと遊んでいただいた方にはご理解いただけると思います。
18才以上の方なら、是非一度遊んでみてください!
最後に、この場を借りてお礼を述べさせてください。私のわがままにいろいろと応えてくれた新旧SA担当QAチームのみなさん、長く地道な交渉を行ってくれた渉外担当のFさん、スペイン語訳のアドバイスをくださったMさん、そして発売を待たずに退職された元デザインチームのTさん、その他サンアンドレアス発売に向けて尽力してくださったみなさん、本当に本当にありがとうございました!
>> PS2『グランド・セフト・オート・サンアンドレアス』公式サイト
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